ゲノム編集食品を反対しています!

遺伝子操作技術の現状

食の安全を求める活動を継続する福生ネットでは、2003年の創立より遺伝子組み換え食品(作物)に反対し、給食食材に使わないことなどを求めてきました。

遺伝子組み換え食品は、約25年前ごろから出回りはじめまが、その後もバイオテクノロジーの研究は進み、昨今ではゲノム編集技術で開発された食品が市場に出回り始めています。

遺伝子組み換え食品も、ゲノム編集食品もどちらも遺伝子操作食品ですが、その違いと現状などを簡単にまとめてみました。

ゲノムって何?

親から子へ特徴や性質を伝えることを「遺伝」、伝える物を「遺伝物質」といいます。遺伝物質の本体は染色体の中にあるDNA(デオキシリボ核酸)です。ゲノムは、ある生物のすべての遺伝情報をいいます。
図書館で例えると、遺伝子が本、染色体(DNAの入れ物)が書棚、ゲノムは図書館全体になります。

ゲノム編集はどうやるの?

2020年のノーベル化学賞は、ゲノム編集の簡便な新手法クリスパーキャス9(ISPR/Cas9)を開発した2人の研究者に贈られました。クリスパーキャス9は、高効率で手軽なゲノム編集ツールとして普及がかつてないほど推し進められています。

クリスパーキャス9とは、案内役(RNA)とハサミ(酵素)を使って、狙ったDNA配列を正確に切り貼りする技術です。目標のDNA配列を切り取ってしまう遺伝子ノックアウトと、切ったところに別の遺伝子をいれる高度な遺伝子組み換え(ノックイン)があります。

従来の遺伝子組み換え技術と比べると精度が高く、開発速度も速く、開発費用も安くなりました。

こんな食品、大丈夫?

現在はノックアウトにより性質を変えた食品が盛んに研究開発されています。ノックアウトにより、その生物の特徴が現れなくしたり、その逆に、特徴が過剰に現れるようにしたりできます。

厚生労働省に届け出が受理され、市場に出回っている主なものです。

●2020年12月に、サナテックシード㈱のGABA高蓄積(通常の約5倍)トマト「シシリアンルージュ ハイギャバ」の届け出が受理されました。ゲノム編集で開発されたトマトは、血圧を下げる等の効果があるとされるギャバ(GABA)の含有量が多い「高ギャバトマト」です。GABA合成酵素(タンパク質)をノックアウトで歪めて常時活性化し、GABA増量させています。

●2021年9月に、リージョナルフィッシュ㈱の可食部増量マダイ「22世紀鯛」の届出が受理されました。筋肉を減らす酵素ミオスタチン(たんぱく質)をノックアウトで不活化し、筋肉増量しています。

●2021年11月に、高成長トラフグ「22世紀ふぐ」の届出が受理されました。食欲抑制因子レプチンの受容体(たんぱく質)をノックアウトで不活化し、飼料利用効率と成長率を向上。

その他にもたくさんの作物や動物が研究開発中です。

しかし生物はあらゆる面で、“ほどほど” のバランスをとりながら生きています。「過ぎたるは及ばざるが如し」と言われるように、人間の目先の目的だけでバランスを壊し、ある性質を過剰にしたり、なくしたりしてよいのでしょうか?

ゲノム編集で作られた角のない牛(米国リコンビネティクス社)の遺伝子に、バイクテリア由来の抗生物質耐性をもたらす遺伝子が入っていることがわかり、牛は殺処分となりました。

消費者は見分けられない

従来の遺伝子組み換え食品は、ある生物の遺伝子に全く別の生物の遺伝子を組み込んでいます。遺伝子組み換え作物の栽培や食品表示には、不充分ながら環境影響評価や表示義務などの規制の制度があります。

日本では、遺伝子の一部を切り取った(ノックアウトした)ゲノム編集食品は、自然界で生じる突然変異と同じという考え方が採用されました。食品表示法は自主表示を容認となり、開発流通の届け出は義務化されず、「自主的な情報提供」で済みます。届け出をするかどうかは事業者の判断となり、罰則はありません。表示なしに市場に出回れば消費者は区別がつきません。

ゲノム編集は、あきらかに従来の品種改良と違います。人為的なゲノム操作で、意図しない変異がゲノム編集から生じることを示す研究もあります。アレルギーなど体への影響、予測できない生態系への影響などが懸念されます。

 

ゲノム編集技術応用食品等|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

 

「ゲノム編集高ギャバトマト」の販売会社は、普及のため家庭菜園用の苗を無料モニターとして一般に配布しました。来年には小中学校にも無償提供することを計画しています。
ゲノム編集作物の栽培により、家庭や学校で子どもたちが遺伝子操作された食べ物を口にします。ゲノム編集植物が自然界に出る恐れもあります。苗の無償提供を受けないことを求めるとともに、給食食材にゲノム編集食品を使用しないことを引き続き求めていきます。

 

参考文献

『ゲノム編集ー神話と現実:煙幕の中のガイドブック』 | OKシードプロジェクト (okseed.jp)