【政策紹介⑤】福祉やグリーンインフラの視点で災害に備える

みんなで作った 福生ネットの2023政策を、少しずつ紹介していきます!

■福祉やグリーンインフラの視点で災害に備えたまちづくりをすすめる

 ●防災政策に女性・子ども・障がい者・高齢者・セクシャルマイノリティの視点を活かす

 ●スフィア基準に沿って避難所の質を高める

 ●非常時にも誰もが守られる保健医療体制をつくる

 ●「自主防災組織」と「避難所運営連絡会」を充実させ共助をすすめる

 

グリーンインフラとは、「緑」を意味する「Green」と社会基盤施設を意味する「Infrastructure」を合わせた言葉で、自然環境が有する機能を社会のさまざまな課題解決に活用しようとする考え方です。気候変動などへの環境対策や防災・減災、地域振興を併せ持続可能な社会形成を目指します。対比する言葉として、コンクリートの使用等で行なうグレーインフラという言葉があります。

政策紹介④でご紹介した、故中村哲医師らによるアフガニスタンの灌漑用水路は、福岡県朝倉市に1970年に作られいまも残る筑後川の取水技術「山田堰」の工法(川底に石を斜めに積んでいく)を使いました。用水路の護岸もコンクリートで固めるのではなく、針金と石で作る蛇籠工法と、さらに柳を植え、その根が張ることで強固にするという方法を使いました。これは、現地の人たちの手でメンテナンスし続けることが可能で、洪水を防ぎ緑と農地を復活させ、人々に食糧と仕事を与えただけでなく、灌漑用水路を守るという近隣の村同士の協働作業を生み出しました。

福生市では何が出来るでしょうか?

南田園明神下公園付近のさくら

たとえば、桜がきれいな多摩川の土手。大型台風が来ると川の氾濫が心配され2019年には避難勧告が出された地域もありました。土手の桜はすでに60年を過ぎ、寿命がきているとの分析もありますが、土手を強固にするという点で桜は向いているのか等の検証もし、必要な手入れを行ないながら、グリーンインフラの視点で保全をしていくことが大切だと考えます。

山がない福生市ですが、多摩川沿いや玉川上水沿い、家々の生垣など、連続した緑を保全し、生物多様性を確保していくことも必要です。

また、長期的な「災害に強いまちづくり」とともに、ひとたび災害が発生したときには、福祉の視点で誰もが守られるための対策が必要です。災害、紛争の影響を受けた人の権利、その人たちを支援する活動の最低基準について定められている「人道憲章と人道支援における最低基準」(通称スフィア基準)に基づき、避難所運営の準備状況を検証する必要があります。

そして、さらにこのコロナ禍を経験し、感染症に対しての対策も避難所運営のスタンダードとして位置づけることが重要になってきました。

コロナ禍では、感染症対策のために福祉サービスが中断されるなど深刻な状況も生まれました。高齢者や障がい者への福祉サービスは、まさに命を繋ぐ支援です。途切れることがあってはなりません。災害時でも途切れることなくサービス提供を受けられるよう、福祉避難所の確保をはじめ、対策を講じていく必要があります。

これらの視点で災害の備えたまちづくりをすすめていきます。(会員 阿南)