外国にルーツを持つ子どもの教育支援

YSCグローバルスクール ヒアリング 11月4日

外国人の多い福生市ですが、市内の小中学校でも外国にルーツを持つ児童・生徒が増えています。学校や学童・ふっさっ子の広場などに関わる会員や市民の方から、文化の違いや日本語がよくわからない児童生徒とその親への対応の困難さの話題がよくでます。外国にルーツを持つ子どもの教育支援に取り組むYSCグローバルスクールに現状や課題などのお話を伺いました。

YSCグローバルスクールで統括コーディネーターとして子どもやその親たちの相談を受け、就学・進学などの支援を担当するピッチフォード理絵さんにお話を伺いました。YSCグローバルスクールの教室にて。右から福生ネット議員の三原智子、ピッチフォード理絵さん、福生ネット会員

授業を行う教室。今日は遠足の日で子どもたちはいません。時間の区切りでチャイムが。日本の学校に馴染めるよう学校と同じチャイムを鳴らしています。

YSCグローバル・スクールは、2010年度より福生市を拠点として、数十カ国にルーツを持つ子どもたちへ日本語などの教育支援を行っています。福生市だけでなく、多摩地域や神奈川県、埼玉県から通う子どもたちもいます。また、全国的に不足する日本語を母語としない子どもたちの支援のためオンライン日本語教育も行っています。外国にルーツを持つ子どもたちの教育支援の現状と課題をお聞きしました。

日本語ぺらぺらなのにテストができない

日本生まれで日本語ぺらぺらなのに、テストができない子どもがいます。言葉には日常的に使っている生活言語と、読み書きなど教科書や授業内容を理解るための学習言語があります。家庭で日本語の文化がないことで学習言語の習得ができず、学習につまずきが出てしまうケースもあるそうです。

日本の学校になじめないことや、母国での学習のやり方の違い、また母国でどのくらい勉強しているかなどでも学習の進みに違いがでてきます。言語も文化も家庭環境も多様な外国ルーツの子どもたちのサポートの難しさを感じました。

日本語がわからず特別支援学級にいることも

学力はあるのに日本語が十分でないため、IQ検査の結果が低くなってしまったり、教師が日本語の指導に手が回らないなどで特別支援学級に在籍する子どもも全国的に増えているそうです。
不登校や不就学ということもあるようです。

この本の中にピッチフォードさんがかかわったペルーの少年の例が載っています。特別支援学級にざいせきしていましたが、YSCに通ううちに学力がつき都立高校に入学できました。

福生市には一小と二中に日本語教室があり、一週間最大8時間の指導時間があります。日本語教室ができた時は外国ルーツの児童生徒がいるのは、この2つの学校だけでしたが、最近ではどの小中学校にも外国ルーツの児童生徒が在籍しています。日本語を教えるには専門性が必要で、YSCの授業は日本語教師の資格を持った方が当たっています。小中学校では専門性を持った日本語教師ではなく、教員が担当しているので負担なども大きいかもしれません。

高校進学サポート

YSCでは高校進学のサポートも行っています。高校入試には国際入試や、都立高校の在京枠など特別な制度もあります。海外ルーツの子どもの受け入れに積極的な私立校や夜間高校も重要な選択肢です。しかし制度や各学校の違いなどは一般的ではありません。生徒の親も高校受験について日本語がわからなく情報が得られなかたり、母国の文化の違いなどもあり進路指導は大変なことだとお話を聞いて改めて感じました。YSCは制度や学校の特徴などを熟知し、子どもに寄り添ったきめ細かいアドバイスをしていました。

東京都教育委員会は、近隣の神奈川県や埼玉県などと比べて取り組みが遅れているとの指摘をいただきました。

ヒアリングにより外国ルーツの子どもたちの教育支援がもっと必要であること。支援には専門知識や経験が必要であると知ることができました。また外国ルーツの子のサポートに積極的に取り組んでいる方々や団体、自治体の存在も知ることができました。関係者のご尽力により指導のためのツールなども工夫されていていました。

国籍に関わらず、日本で暮らすどの子にも教育の機会を保障していけるように福生ネットは今後も活動していきます。
三原智子が12月定例議会の一般質問で、このテーマを取り上げていますのでご覧ください。 (福生ネット会員 黒澤)

今年10月に行われた多言語高校進学ガイダンスの案内。ピッチフォードさんは、ガイダンス実行委員ひとりでもあり、ガイダンスでの個別相談も担っています。

壁に貼られたYSCに通う子どもたちの2021年の写真。遠足にいたっりと楽しい活動もしていますが、コロナ禍で制限されていしまいました。