気候変動に立ち向かう政治の役割
東京ネット主催の「新春のつどい2022」が1月31日にオンラインで開催されました。
基調講演では NPO法人気候ネットワーク理事 平田仁子さんから
「気候変動に立ち向かう政治の役割」と題して、私たちが活動していく上で大変参考になるお話をしていただきました。
政治では扱いにくい気候変動問題ですが、今がんばらないと!
「気候変動」のような問題は、今まで政治では扱われなかったとの指摘に、なるほどそうだと思いました。
この問題は、地球規模・長期間で問題が大きすぎるし、対策の効果は簡単に見えないし、山積みの他の課題もあり優先順位が下がりやすくなってしまいます。
反面、今はSDGsの普及、政府のカーボンニュートラル方針、若い世代の関心の高まりなど、気候変動の問題は社会的に盛り上がりを見せる面もあります。しかし、まだまだ社会全体の関心は薄いようです。
大雨や乾燥など極端な気候の頻度が増しています。気温上昇を2℃以内に収める目標もありますが、
1.5℃でもの深刻な気候変動が起きると予想されます。
2030年までに大きく削減しないと15℃を超える危険があり、ゆるやかな取り組みでは間に合わなくなっているのです。
今がんばらないといけないのです!
石炭火力の削減が重要だが日本は…
世界の排出の半分を占めるのが石炭火力発電で、その削減が重要になっています。
しかし先進国(43か国)の中で最下位なのが日本だそうです。
岸田首相は「太陽光は変動するので火力が必要」との演説で化石賞を貰いました。
日本は石炭火力発電をいつやめるか目標を持っていないことも世界的に見て遅れています。
日本に166基の石炭発電所が稼働中です。そんなにあったのですね!
しかも福島第一原発の事故後、石炭火力発電所50基の新設計画もあったそうです。17基は地元住民の反対運動で取りやめになりました。あとの3基は自然消滅。ですが、現在10基の新設が進行しています。
新しい技術も問題が
アンモニアや水素を石炭に混合して燃やす新技術が登場していますが、CO2削減には疑問であるとのこと。水素やアンモニア混燃、CO2を地中に埋めるCCUS利用などの目的で国の多額の補助金が投じられ、化石燃料発電の延命になってしまっているのが実態です。
水素については、大きなエネルギー出力が必要な製鉄や大型船舶などには必要な面はあるそうですが。しかし水素は輸送がたいへんで安くないものです。用途をはっきりさせて使うべきものです。
地域からの取り組みの重要性
自然エネルギーは推進したいのですが、地域の自然を大きく改変し、作った電力を大消費地の東京に送るだけ、儲かるときだけ大手が独占する原発と同じような仕組みになりかねないことが起きつつあります。
例えば秋田県の洋上発電開発の問題を挙げていました。大手企業が事業を受注しましたが、地域の資源を使うだけで、地域の豊かさにつながらないかもしれないことが危惧されます。住民からの反対運動も起きています。
自然エネルギー推進では、地域の人が参画して進むしくみ、地域がどうやって豊かになるかを考えてた仕組みを作っていかなけらばなりません。そのためには市民側からの連帯が必要です。
地域でどんなことが実践できるか具体例
私たちは地域から何をすればいいか具体的にお話しいただきました。
・ゼロカーボンシティーへ名乗りを上げる
・CO2削減について条例化
・もともと自治体にある環境基本計画での計画実行する
・地域が関わることが少ない産業や発電への関与も積極的にすること
・国の補助金も活用しよう
・教育委員会には、マイボトルを超える環境教育をしてほしい (学校断熱ワークショップの例 学校断熱ワークショップダイジェスト動画 – YouTube )
公正な移行を目指して
気候ネットワークは、脱炭素社会への移行において誰も取り残されないようにするため、
・ステークホルダーが実質的に協議に参加し
・地域の人々が選択について発言権を持ち
・労働者は働きがいのある仕事と安定した収入を確保できるようにすること。
また地方・地域・国 レベルで持続可能な経済の多様化を促進し、コミュニティ のレジリエンスを強化すること。
これらはすべて脱炭素社会をスムーズに、成功裡に実現するために不可欠といいます。
自分たちの暮らす地域を豊かにするために
地域ならではできることを考えていきたいです!
(報告:クロサワ)