デジタル関連法と個人情報保護制度見直し
東京・生活者ネットワーク主催の学習会「デジタル関連法と個人情報保護制度見直し ~自治体との関連で~ 」に 参加し、特定非営利活動法人 情報公開クリアリングハウス 三木由希子さんから、 お話を伺いました。 (2021年8月5日)
2021年9月に設置が予定されている「デジタル庁」の設置法等、6つの法律を柱に国民の情報が国に一元化されようとしているそうです。
これまで、必要に応じて地方公共団体が整備してきたため、ばらばらな情報システムになっているものを全国同じフォーマットに統一することで、一人ひとりに合った行政サービスを提供できるようになるというのが利点です。
今まではいわゆる「申請主義」でこちらから申し込まないとやってもらえなかったけれど、「あなたには、市と都と国からのこういうメニューがありますよ。どうぞ」と言ってもらえるようになるのなら便利です。個人の権利を最大限行使でき、不公平の無いようにしていくことは良いことだと思います。
しかし一方で、情報が一元化されることで、個人の監視につながりかねません。
「個人の権利」と「個人への監視」。
そのベクトルがどちらに向くかは、情報の利用目的によります。
この利用目的をチェックするしくみも整備して、個人情報の悪用や国による個人への監視を防ぐことが必要です。
このデジタル関連法の整備の中で、個人情報保護法もかなりの割合で実質的な改正がされたとのことです。「個人情報保護法の改正」という表題ではなく、「デジタル関連法制定」によっていつの間にか改正がされてしまうというのは問題ではないでしょうか。
しかし実際そのような流れで個人情報保護法が大きく変ったようです。
また、デジタル庁は、内閣総理大臣が担当大臣となるとのことで、他の大臣職ではできないことまでできる権限を持つ者がその任に着くことになります。
国は何をしようとしているのか、注視していく必要があります。
個人情報を本人の同意なしに使われてしまわないように、自治体が持つ個人情報保護条例等の内容をもう一度チェックし、自分たちの身近な行政が自分たちを守る方向で公平な仕組みになるよう、働きかけが必要だと思いました。
(阿南)