オスプレイ低周波被害の問題について

オスプレイは、他の航空機に比べ、低周波の発生が問題であるとされます。
第一次普天間基地爆音訴訟で裁判所が「低周波音による被害」を認めています。
 
「航空機による低周波音とその被害について」琉球大学准教授の渡嘉敷健先生の講演会で、お話を伺ってきました。(9月21日 昭島市・環境コミュニケーションセンターにて 主催 横田・基地被害をなくす会 第9次横田基地公害訴訟原告団 第2次新横田基地公害訴訟原告団)
 
 
渡嘉敷先生は、音響工学の専門家です。
 
音は振動であり、人間の耳で聞こえるのは20ヘルツ~20,000ヘルツくらいです。
年齢とともに低い音ほど聞きづらくなり、とくに男性の方が聞きづらくなることが多いそうです。
 
20ヘルツ以下の低い音は聞こえませんが、振動として耳にある三半気管や体で気が付かないうちに感知しています。
写真にある実験装置で、上向きのスピーカーの上に軽い発泡スチロールの球をのせ、音を出してみした。
低周波と言われる音になると、なんと球がよく動き出しました。低い音ほど振動パワーがおおきいのです。

一度だけ、オスプレイの離陸を横田基地の金網越しに遠くから見たことがあります。
すさまじい騒音かと思ったほどではなかったのですが、なんとなくお腹に響くような音だと感じたのは、あながちはずれていなかったようです。

 
渡嘉敷先生は、沖縄の基地周辺で航空機騒音を調査研究しています。
航空機の騒音は移動しながら発生するもので、実験室のように固定した音源ではないので実験が難しく、実例を集めることが必要だそうです。
 
聞こえない音なので、証言を集めることも大切だそうです。
心臓手術を受けた人がオスプレイが上空を低空で通過すると振動で動悸が起きる
心臓に人工弁を入れているが、オスプレイが上を飛ぶたび不整脈が起きる
パニック障害の症状が悪化したなどの証言が沖縄で出ています。
心身に与える影響として、頭痛や動悸、圧迫感、いらつき、船酔いのような感覚が出ることが分かってきました。特に室内での影響が大きく、低周波は防音工事の効果が少ないそうです。
 
動物は本能として低周波に警戒をもつようになっています。
低周波は、地震や火山噴火、雷、土砂崩れ、洪水などの際に強く発生します。生命の危機を知らせる低周波に動物は緊張状態になるのです。
 
渡嘉敷先生は人体への影響となると、専門ではないので断言してはいませんでした。
先生は、時間をかけきちんと検証していくことの必要性を強く訴えていました。
多方面から調査研究することの必要性を感じました。
 
低周波を測る機械は、通常の航空機の騒音を測るものとは違うそうです。
福生市には、福東の基地滑走路の近くと市役所上空に測定器がありますが、通常の航空機に対応したものです。
 
沖縄では、住宅地でも学校でも騒音の被害にあっています。
とても理不尽に感じたのは、アメリカでは、住民の反対によりオスプレイの訓練が困難になっているのに、日本ではいくら住民が反対しても訓練を行っているということでした。
 
 

講演をする 琉球大学准教授 渡嘉敷健先生

スピーカーの上に置いた発泡スチロールの球が音で振動