再エネ100%社会実現のため福生市にできること

気候変動が危機的状況にある今、再生可能エネルギーへの転換は急務です。

このまま何もしなければ、世界は悲劇的な状況に陥るといわれていますが、10年間でCO2を半減できれば、悲劇は回避されるともいわれています。

2016年4月から電力小売が全面自由化し、続々と新しい電力会社が生まれています。これらの中には、自然エネルギーを中心とした電力の供給を目指す会社もあります。

再生可能エネルギー100%の社会を実現させるために、自治体が再生可能エネルギーでの電力を選択することは重要です。

世界中でも自然エネルギー100%を目指す宣言をした都市が318あります。
そのうちすでに58の都市と5の地域では自然エネルギー100%を達成しています。

東京・生活者ネットワークは、「自然エネルギーが中心となった持続可能なエネルギー社会にむけて、電力(パワー)のあり方を、変えていく」パワーシフトキャンペーンの活動に参加し、協力して東京都内各自治体の電力調達に関する調査を行いました。福生ネット市議の三原智子も、福生市に調査のお願いをし、協力していただきました。

  パワーシフトキャンペーンHP

 

「東京都内自治体の電力調達の状況に関する調査2020」

パワーシフト・キャンペーン運営委員会は2019年度、一橋大学自然資源経済論プロジェクト、朝日新聞社および環境エネルギー政策研究所とともに47都道府県、20政令指定都市および再生可能エネルギー調達などで注目すべき市区町村を対象に、「自治体の電力調達に関する調査」を実施しました。この結果を踏まえ、東京都内の自治体について同内容を確認したのが今回の調査です。

自治体の電力調達の状況に関する調査2020報告書の表紙

・報告書のダウンロードはこちら
・各自治体の契約状況一覧表(報告書の一部)はこちら

 

<調査概要>

  • 調査目的: 「自治体の電力調達の状況に関する調査(2019年度)」に続き、東京都内の自治体を対象として、電力調達の状況やその方針を可視化し、望ましいあり方を考察することを目的として実施
  • 実施主体: パワーシフト・キャンペーン運営委員会(事務局:国際環境NGO FoE Japan)、東京・生活者ネットワーク、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
  • 調査内容: 本庁舎の電力調達先(2011~2020年度)、電力調達方針、再生可能エネルギーに関する方針など
  • 調査方法: 調査票をメールで送付し、メール等で回答を得た。必要に応じて電話・訪問ヒアリングを実施
  • 調査期間: 2020年2月~4月
  • 調査対象: 東京都内の62自治体(環境担当部署・調達担当部署)
    うち回答62(100%)

<調査結果概要>

  • 2019年度調査と同様に東京都内自治体でも、本庁舎の電力契約において入札などで東京電力が落札する事例が増えている。以前からの継続も含め、4分の3近くが東京電力からの調達である。
  • 東京都内では、7割以上の自治体が電力調達に関する何らかの環境配慮の取り組みを行っている。
  • 清掃工場の廃棄物バイオマス発電の活用が各所で見られる。
  • 再エネ100%やCO2ゼロ電気の調達や、再エネ調達の方針策定も一部で見られる。
  • 他地域自治体との連携による再エネ調達も特徴としてみられる。

<考察>

  • 入札において東京電力が落札するなどの事例が目立つが、その背景に大手電力と新電力との間の格差(電源保有、顧客情報など)があり、それを支える制度状況となっていることがうかがえる。
  • 東京都内自治体の電力の環境配慮調達は比較的進んでいるが、再エネ調達には必ずしもつながっていない。再エネ調達を進めている自治体の事例が参考になる。
  • 気候変動政策・エネルギー政策と電力調達とを関連づける取り組みは、一部で始まったところであり、今後に期待される。
  • 「実質再エネ100%電気」「CO2ゼロ電気」などはその中身を見ることも必要である。

<提言>

  1. 自治体こそ、主体的に温暖化対策・エネルギーシフトに取り組むべきである。電力調達は、自治体のエネルギー政策や気候変動政策と密接に関わる。環境政策の一環として取り組む必要があり、環境担当部署が連携・関与していくことが望ましい。
  2. 環境省の環境配慮契約法における基本方針(電力調達)では、現状の裾切り方式ではなく総合評価方式を示すよう改訂すべきである。また、先進的な事例の共有・普及が望まれる。
  3. 東京都内各自治体においても、中長期のエネルギービジョンや温室効果ガス削減計画を策定し、全国に先がけて取り組むことが求められる。
  4. 再生可能エネルギー調達の取り組みを進めるために、つながりのある他自治体との連携も視野に入れる必要がある。

 

福生市の回答から

Q 本庁舎の電力調達の方法

指名競争入札  一般競争入札を行った結果、不調となったため指名競争入札とした

本庁舎の各年度の契約電力会社(本庁舎の契約が複数に分かれている場合、契約電力量が最も大きいものを記載)

電力会社名
2011年度 東京電力株式会社
2012年度 東京電力株式会社
2013年度 東京電力株式会社
2014年度 株式会社エネット
2015年度 丸紅株式会社
2016年度 株式会社F-Power
2017年度 株式会社F-Power
2018年度 サミットエナジー株式会社
2019年度 日立造船株式会社 東京本社
2020年度 東京電力エナジーパートナー株式会社

 

Q 電力調達について環境配慮に関する方針を策定していますか。

環境配慮契約法に基づく調達方針を策定している。

Q 上記について具体的に教えてください。

国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律の趣旨を踏まえ、福生市が行う電力調達契約の競争入札の実施に際し、環境に配慮した電力調達を行うために必要な事項を定め、もって市における温室効果ガス等の排出の削減を推進することを目的とする方針

Q 自治体として、電力調達に関して重視する点を教えてください。(複数選択可)

1.価格
2.CO2排出係数
3.再生可能エネルギーの割合
4.未利用エネルギーの活用状況

Q 本庁舎以外の施設の電力調達について、新電力から調達している事例など、特徴的な取り組みがあれば教えてください。(記述)

福生市が管理している施設の電力は新電力から調達している。

Q 再生可能エネルギーの調達を進めて行くうえでの課題があれば教えてください。(複数選択可)

調達方針改訂のための庁舎内の合意形成

Q 再生可能エネルギーの調達に関連する政策や取り組み・計画

「福生市市有施設省エネルギー・再生可能エネルギー推進指針」を平成26年度より適用し、市有施設における施設整備事業の実施の際には、再生可能エネルギーの推進を図っている。

 

環境配慮契約法

平成19年から「環境配慮契約法 (国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律) 」が施行されました。
国では義務、地方公共団体では努力目標になっています。

東京都内では7割以上の自治体が電力調達に関する何らかの環境配慮に取り組んでいます。
福生市と同じように「環境配慮契約法に基づく契約方針」の策定は47%。
その他独自の環境に関する取り組み」の26%と合わせると73%になります。

しかし環境配慮契約法で環境省が例を示しているのが、
裾切方式+最低価格落札方式で、
二酸化炭素排出係数など環境配慮している小売り事業者に点数をつけ入札参加資格を与え、そのあとは価格で決定します。

しかしこの方式では再生可能エネルギー促進には不十分で、大手電力への回帰が起こってきています。福生市でも2020年は東京電力エナジーパートナーが選ばれています。

お隣の羽村市では、環境配慮点と価格点とを合計して評価する「総合方式」を採用し、より環境配慮点が落札に結び付きやすくなり、この調査でも注目されています。

また、世田谷区、江戸川区では、再生可能エネルギーの割合の高さを評価する独自の基準を設定しています。

以下の動画では この調査に関するセミナーがご覧いただけます。