35歳の熱血ホーム長に聞く 小規模多機能型居宅介護施設とは

2012年11月8日 17時23分 | カテゴリー: トピックス

     地域密着型といわれ、24年度介護保険改正の中でも注目される小規模多機能型居宅介護施設とはどんなものでしょうか。35歳の熱血ホーム長が運営するグループホーム+小規模多機能型居宅介護施設に見学に行き、ホーム長の介護に対する熱い思いいっぱい、元気いっぱいのお話を伺いました。

ホーム長の下地さん。使い心地のよいおむつをと、メーカーと一緒におむつの商品開発もしました

   小規模多機能型居宅介護では、デイサービスを中心として、訪問介護やショートステイを組み合わせてサービスを受けることができます。3種類の介護サービスを顔なじみのスタッフから受けることができ、ケアの連続性が保たれます。

 認知症高齢者グループホームとは、少人数で共に生活をする場の事です。入居者は最大9名までとなっており、施設に比べ家庭に近い介護が受けられる点が特長です。

  福生には特別養護老人ホームが4つなど施設の数は足りているように思えますが、小規模多機能型の施設はありません。また、グループホームも1つだけです。どちらも、一般的に需要はあっても、経営が難しく、数が増えないのが現状のようです。

グループホーム 安心してもらうこと 普段どおりに暮らすこと

 伺った武蔵村山のヒューマン・ケア武蔵村山では、グループホームは、1フロアに個室と食堂など共用スペースがあり定員9人で、2階3階と2フロアあります。

家庭的な雰囲気のグループホームのダイニングキッチン

  利用者が、なるべく今までの生活どおりに暮してもらうことを重視しています。例えば、みんなでお昼に食べるパンを買いに行ったりします。「パンは2つ」という決まりで、近所のお店で買物をする。お店の人には「大丈夫ですか?」と心配されたが、トラブルもなく、職員の手を借りずみんな好きなパンを買う。たくさん買ってしまう人いるのでは?と質問してみると、「帰ったら美味しいスープもありますよ」などといえば、納得してもらえるとのこと。

  認知症は「不安な状態」が続いていることで、安心できれば行動も落ち着くそうです。介護制度での義務はありませんが、この施設ではイベントが多いそうです。そのことで、昼間は動いて、夜は寝るという自然な生活のパターンができ、夜間の徘徊なども減ってくるそうです。そうすると、職員の負担も減ってきます。

「利用者の気持ちに沿い、できることはやってもらう。やってあげるばかりが介護ではない。できることを取り上げてしまわないことです」とホーム長の下地さん。できることもできなくなることは、介護度が上がってしまうということにつながります。食卓でタオルをきれいに畳んでいるおばあさんがいました。

 お料理をつくるのも日常的やっています。食堂には、利用者さんとも一緒に作業できるような広いカウンターがついています。介護施設では珍しいことですが、冷蔵庫は開閉自由です。緑茶は他の施設ではあまり出ませんが、お年寄りが好きな緑茶を出しています。どちらもいつもどおりの自然な日常生活をと思ってのことです。トラブルは特にないそうです。

冷蔵庫は利用者が開閉自由です

 幸せな一生とは

 「最後の砦」とホーム長の下地さんが表現する介護施設、人生の終末期で一生懸命自分のためにがんばってくれる人に出会えたら、その人の人生は良い人生だったといえるのではないか、とおしゃっていました。人を幸せにしたいという思いで仕事をしているのが、とても頼もしく思いました。お年寄りは、自分より年上の人たちであり、尊敬の念を持って接しているそうです。

地域との交流

 最近、利用者さんたちは、近くの小学校へ給食を食べに行ったそうです。小学生との給食会に至るまで、昨年から、丁寧な交流を重ねてきました。利用者さんにも、子どもたちにも幸せな出会いとなっているようです。

交流する近隣の小学生からのメッセージ

 ボランティアも積極的に受け入れています。伺った日は、ボランティアグループによる映画の上映会をしていました。

 運営推進会議は、介護保険制度で、年5回やらなくてはいけないルールですが、方法は任せられています。地域の消防、小学校、自治会など、外部の人になるべく入ってもらうようにしています。

 
 小規模ならではのよさ

 青梅街道から少し引っ込んだところにあり、車の往来が眺められ、背後には畑とその向こうは住宅地と、小規模ならではの、ほどよい外部とのつながりが感じられます。

個室の様子 窓からまちの様子がわかります。

 一階はデイサービス、ショートステイの部屋、事務所があります。デイサービスに来ている場所で、短いお泊りをする、そこで会うスタッフが、家に手伝いにも来てくれる。実際の場所をみて、やはり利用者には安心感があるだろうと、実感しました。

 小規模ゆえ、利用者さんに目が行き届く、人間的なお付き合いができるという利点があります。

職員不足に悩まない

 介護の事業所は、ほとんどが職員不足で常時職員募集状態にあるようですが、こちらでは、職員の定着率がよく、職員不足に困ったことがないそうです。

 なるべくマニュアルを作らないようにしているそうです。なんでマニュアルがないの?と職員から怒られたこともあります。でも、マニュアルに頼らないことで、最初はたいへんだが、柔軟な発想ができるようになりました。そのつど職員同士がよく話し合うことで、仕事がスムーズに進み、コミュニケーションもとれ、職場の雰囲気も良くなってきました。職員が自由に力を発揮できるような環境がつくられています。

 下地さんが特別養護老人ホームで、寮母長(フロア長)だったとき、おむつの一斉交換を個別対応に改革したそうです。そんなチャレンジャーなホーム長のやることは、実は開所から今に至る3年間は、話し合いのたび、職員から相当な批判を浴びたそうです。でも話し合いで指摘された問題を、ひとつづつクリアしていきました。

 人の気持ちがわからないと、人はついてこない。人の話しをよく聞けば、向こうからいろいろ教えてくれるもの、そして自分をさらけだすことで、利用さんや家族の信頼を得られたといいます。

 職員の定年制はなく、その人が持つスキルを活用し、やりがいある仕事ができるようにしています。勤務時間なども自分に合ったペースで働いているそうです。介護職はたいへんな仕事であることも、人材不足の原因のひとつです。ヘルパーをしている人から、ヘルパー派遣の事業所では、働く人同士の交流もなく、スキルアップのための研修などもなく、ただ利用者さんのお宅に行き、帰ったら必要な書類だけ提出して終わりの孤独な仕事で、それが辛いと聞いたことがあります。

 職員がやる気の出る職場をつくること、下地さんのような人材が、存分に力を発揮できるような環境をつくりることが、とても大切でしょう。